概要・特徴 |
敷地は、岡山県北部の出雲と大和を結ぶ鉄路として栄えた出雲街道沿いに位置する。周囲を山々に囲まれ緑豊かなこの地域の老朽化した小学校の改築工事である。5mの高低差のある敷地形状を利用して1階をRC造とし半地下状に埋めこみ、2階部分を木造とした。これにより全体のボリュームを押えこむことが可能になり、北側道路からは木造平屋建の校舎に見えるようにしている。 背後に迫りくる山々の風景に建物を呼応させるように、細長い四寸勾配のボリュームに、カネ勾配の切妻屋根と、多目的ホールの八角形の屋根とを組み合わせて配置している。そして中央の切妻屋根の端部を斜めに切り落とし、軒を屋根より緩やかな七寸勾配の角度で仕上げていくことで、軒に用いた地場産の羽目板が瓦の勾配屋根を視覚的に引き立たせている。 内部空間に関しては木の鮮やかさを最大限引き出せるよう、木部以外の色彩を可能な限り排除する計画とした。ただし、木材を使用しすぎると光の拡散を妨げるため、暗い空間になってしまう。そこで木の見付部分と他の部分との割合を配慮しながら木材を使用した。具体的には木材を面として扱うのではなく、付鴨居等の線材を中心とした使用方法をとることで内部の明るさを保ちつつ、木材の暖かみを感じ取ることのできる空間を目指した。廊下のトラスや多目的ホールの多彩なKES構法による空間が、子供たちの新たな記憶の舞台となるべく計画した。 |